院長がふと思いついたことを綴っています。

ルーペの話
Medical Loupes

 
 
医療をテーマにしたドラマや映画を観ていると、手術シーンで術者や助手がルーペを着けているのを目にされると思います。『そんな掛け方じゃあ、何も見えないだろう・・・』とダメ出ししたくなるのは外科医の性分ですが・・・。
 
それはさておき、ほとんどの『手の外科医』は、古くからこのように『外科手術用ルーペ』を掛けて手術を行っています。もちろん『形成外科医』『歯科医』『心臓外科医』『脊椎外科医』等にもルーペを掛けて手術を行う人はいますが、拡大が必要な時だけ顕微鏡を使うという人も多く、Myルーペを所有している頻度が最も高いのが『手の外科医』であると言っても過言ではありません。
 
ルーペの役目は、術野に顔を近づけなくても細かな構造を拡大してよく見えるようにすることであり、一般的には視力や用途に合わせて2.5倍〜4倍程度のものが用いられます。手術用顕微鏡ほどの高倍率(10〜20倍)は望めませんが、ルーペは簡便で機動性に優れているため、さほどの高倍率が必要の無い手術において威力を発揮します。ちなみに4倍程度のルーペでも、指の神経や動脈を縫合することは可能です。
 
今やたくさんのメーカーがしのぎを削っている領域ですが、確固たるシェアを有しているメーカーがイギリスの『Keeler(キーラー)』、ドイツの『ZEISS(ツアイス)』、アメリカの『Designs for Vision(デザインズ・フォー・ヴィジョン)』です。『医龍』シリーズで使われているのはKeelerのものですが、オーストラリア『Hogies(ホギーズ)』製のフレームが用いられています。近年流行のカラフルなスポーツフレームが格好よいですね!? テレビを見ながらこのような小物を見つけて喜ぶのも、医者にとってはマニアックな楽しみではあります。
 
値段は、安くはありません。いずれも日本で購入すると25〜40万円ほどします。我々にとっても、一冊数万円という医学書とともに、自己への投資とはいえ大きな出費となります(開業しましたら経費になりますが・・・)。
 
小生が愛用しているのはZEISSの3.5倍ルーペで、直径8cm程の視野を3.5倍に拡大して観ています。自分で買った初めてのルーペ(右)はアメリカでフェローシップを受けることになった時に購入したもので、フェロー特価の13万円程でした。しかし、はや15年、この間4千件を越える手術に使用し、何度か落っことしたりもして大分くたびれてしまいましたので、昨年アメリカ手の外科学会に参加した折、新型(左)を(安価に!)購入してまいりました。また、毎週出張している東北海道病院用にKeeler(下)を購入。老眼の始まった小生の新しい目として今後末永く活躍してくれることでしょう!
 


 

  • Zeiss : http://meditec.zeiss.com/meditec/en_de/products---solutions/plastic-reconstructive-surgery/loupes/eyemag-pro.html
  • Keeler & Y. Na : http://www.keeler-yna.co.jp
  • Designs for Vision : http://designsforvision.com/index.htm

 


 

滑らない靴の話
Non-slip Shoes

 
 
冬の札幌を訪れて驚いたのが、ツルツルの凍結路です! 札幌で生活すると決めた以上は、滑って転んで大怪我をしないように、これを克服せねばなりません。
 
しかしながら、北国出身でない小生などが凍結路を”転倒しないように歩く”ことは極めて困難であり、ハイテクに頼ろうと”滑りにくさ”を謳ういろいろな靴を試してみました。そして、最終的に行き着いたのがノルウェーの”ICEBUG(アイスバグ)”であります。
 


 
同社の靴はソールに金属製のスタッズが多数埋め込まれている、所謂スパイク・シューズです。特徴的なのは、大理石などの硬い床ではスタッズがソール内に引っ込むため、屋内でもツルツル滑ることはありません(木の床には傷を付けますので、注意が必要です)。ブーツの他にスニーカーなどもあります。これを履いて片道2kmの距離(昨年までは5km)を毎日徒歩通勤していますが、転んだことは一度もありません。万一多少スリップしても、何処かで止まる!という安心感があります。
 
価格は2万5千円〜5万円程(輸入業者により異なります)ですが、転倒して骨折でもおこした場合の損失を考えると、決して高い買い物ではないと思います。最初に買ったブーツは10年目にはスタッズが抜けたり傾いたりして滑り止め効果が低下したため退役し、今は2足目を使用しています。
 
転倒してケガをされませんよう、特に道外から来られた方には、このような靴のご使用を強くおすすめします!
 

  • ICEBUG : http://icebug.se/en/